エッセイのページ

1440キロカロリー
糖尿病で、教育入院をしていた主人が退院した。
入院中に、夫婦そろって薬療法 運動療法 食事療法の三つを、うまくを実施する事が大切だという講義を何度も受けた。薬と運動は病院で管理されるので、食事作りは私の担当になってくる。主人の必要量は1440キロカロリーとの事で、2週間毎に担当医のチェック有りなので、プレッシャーだ。
 1単位80キロカロリーに分類した表を参考に、主食(炭水化物)、主菜(たんぱく質)、副菜(脂質 ミネラル ビタミン類)を、毎食バランスよく用意せねばならない。
知ってます? 上記を具体的に作るとすれば、ご飯はかる〜くお茶碗に一杯だけ。魚一切れと豆腐半分。甘くないヨーグルトとりんご半分。後は野菜類などなど。まるで精進料理みたいだ。

「ああ〜 腹減った!」と、主人がわめく。
ある時、メッシュフラワーの自宅レッスンで生徒を見送ってテーブルに戻ると、コーヒータイムに出したお菓子と角砂糖が無い!!
もしやと思い主人を見ると、ヒヒヒッ・・・と、口にほおばっているではないか。
「これっ!」と叫んだら、自分のことだと勘違いした猫のナナが、お定まりの『お尻たたいて頂戴』場所で、目をキランキランに輝かせて大喜び状態で待ち構えていた。

 そんな事が有ってから、お菓子類は買わない事とした。
思えば、今まではどれだけ甘い物が保存しあった事か。冷蔵庫も冷凍庫も、いつ来客があっても対応できる状態だった。といえば聞こえがいいが、違うんです。大好きなんです甘い物が。食事をしないでお菓子をぽりぽり、痩せないわ〜の日々だったかもしれない。
食材についてもそうだった。売り出し中のスーパーを狙い撃ちして、あれもこれも買ったものだ。
娘たちがいつも言う。
「この家は一体何人家族? 買いすぎ!」
「いや〜 備えあれば憂い無しの如く、いつ台風が来ても生き延びれるし・・・」と、苦し紛れの返答をするものの、大半は食べきれずゴミ箱行きの始末。

 今は違いますよ!
体にいい物、ノンカロリー物、お肉も一寸奮発して脂身の無い物などなど、意識して買うようになった。
そんなこんなで、主人は減らした体重、退院時の49キロを維持して、平均値より3倍も有った血糖、血圧、ヘモグロビンAIc の数値がぐんと下がったと担当医にO.Kのサインをもらった。
私もこの際、便乗肉体改造にあやかろうと、レッグマジックなるマシーンを通販で購入して、一の袖 二の袖いや三の袖?の、たぷんたぷんの振袖肉を除去中だ。
「効果は有るかい? その割には・・・」と、主人。
ぎくっ。危ない危ない。外出したり友人と会ったりした時に、でっかいでっかいモンブランのケーキををパクついてるなんて口が裂けても言えない!

 涼しくなった今日この頃、食欲の秋と人は言うけれど、我が家は、幸か不幸か貧欲の秋だ。
胃も小さくなったみたいで、ラーメンのようなどんぶり物のメニューを見ると、あのボリュームに恐ろしさえ感じる。
只今、会席盆に食器を多く使い、見た目満腹感を考え、彩のある低カロリー食を楽しんでいる。
「美味しいねっ」と、私。「料理が上手だねっ」な〜んちゃって、まるで新婚、いや、じじ&ばばの戯言でした。

 

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