エッセイのページ

コーヒーへのこだわり

交響曲の父といわれるベートーベンが、大のコーヒー好きだったと聞き調べてみると、何と、コーヒ一一杯分に豆60粒を正確に数えて挽き愛飲してたとある。
 興味津津だったので私もさっそく一粒、ふた粒と声を出して数え、かの偉大なる作曲家と楽しみを共有した気分になって試飲してみた。
豆の種類や大きさにもよるけれど、程良いコーヒー一杯分の分量だと知った。「フムフム彼はきちんとした性格で、毎回毎回同じ味を好み、これこそ我が『運命』、ジャジャジャジャーン!と作曲してたかも・・」と想像して楽しくなった。
 私は、味が濃い薄いというよりも、カップに注がれたコーヒーの温度と飲む時の雰囲気に絶対譲れないこだわりがある。
例えば、カフェに入って注文したコーヒーを口にした時、「わあ〜おいしい(^^♪」と思えるか、「うん もうっ!」とイラつくかは、その一口目の温度にかかってくる。
コーヒーは熱々が好きだ。芳醇なほろ苦い液体が、胃の中にゆっくりと流れ下りるのを感じるのが好き。飲んでいる間に温度が下がるのはまあ仕方がないけれど、最初から鼻水をすするようにぬるいと腹が立ってしまう。
 或る時、コーヒー禁断症状に陥り、通りがかりのフアーストフード店に飛び込んで飲んだコーヒーが、あまりにも好みに合わなかったので、もっと熱いのにして欲しいと言ったら、な、なんと、レンジでチンをしてきて唇をやけどしそうになり大閉口。しかし飲まずに帰るのもしゃくだったので、カップの縁に手をかざしたり、なめてみたりと猫舌のおばさんを演じたことがある。
 故にやっぱりコーヒーは、自宅で飲むのが一番好き。
新緑の季節にはベランダに出て、プランターからあふれんばかりの草花に囲まれ、猫のナナと戯れて飲むコーヒーは最高に楽しい。冬は冬とて、取り入れた観葉植物でジャングルになっているマイルームで、流れるジャズのリズムに合わせて豆を挽くのは至福の時だ。
 私は、コーヒーカップを集めるのが好きで300客以上はあるだろうか。娘達も、生意気に小さい頃からコーヒー好きで、家族の頭文字をとった『カフェ Ma Ju Na Mi 』を家庭内オープンさせ楽しんだりしていた。
『Ma』と『Ju』が嫁いで去った今は、脳梗塞の主人と二人で『たそがれカフェ Na & Mi 』と店名を変更して経営続行中。
相変わらず私は、コーヒー三昧の毎日だ。
  ♪ 人生の
      たそがれ時に
         飲むカフェは
            苦き初恋の
               味にも似てえ〜  と歌ったりなんかして・・・。(笑)

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