エッセイのページ

韓国のアミューズメント銭湯

 韓国の銭湯が、とてつもなく面白い事をご存知でしょうか。
只今韓国ドラマにはまっていて、主役の女優さんが、銭湯ユニホーム!?を着て頭にタオルをターバン巻きし、あぐらをかきリラックスしているシーンを見た時、そうだ そうだと、私は面白かった体験を思い出した。

 4年前の事だから現在は違うかもしれないが、とにかく興味深かった。
ソウルの現代百貨店で、メッシュフラワー&クラフト展をする為に、韓国人の友人宅にホームステイをした時の事だ。
友人宅は、ソウルの中心よりやや西方の『新村(シンチョン)』界隈にあり、大学が多く活気溢れる町だが、日本ではあまり見かけなくなった銭湯がいたるところにあった。
何でも経験したがり屋の私は、友人の子供、スヤンと銭湯へ行った。
まず、プラスチック製の手付きかごにタオルや石鹸、シャンプー&リンス等を持つ。日本と違って洗面器ではないのが面白い。そして、ミュールと言いたいが、つっかけ?を履き、手をつないでネオンの町へとくりだした。

 銭湯の入り口で、定かではないが3000〜4000ウオン(約300〜400円)を払ったと思う。スヤンが、もう1000ウオンと言うので払うと、Tシャツと短パンが渡された。
へ〜 韓国のお風呂って、これを着て入るの?と、興味津々だった。が、中に入ると、おっ ここは日本?と、思わんばかりの脱衣場が有り、皆がそれなりの行動をし、輪ゴムの付いた鍵は、ブレスレットにしたりアンクレットにしたりしている。
私も、スヤンとそれなりの行動をとり、タオルで覆うべきところを覆い歩きだして、驚いた。 老いも若きもみんな堂々と歩いているではないか!! タオルは洗面器に入れたまんまで・・・。
うっそ どうしょう・・・っと、顔が赤くなる。
お見せ出来るプロポーションではない。だからといっていじけている場合ではない。ここは韓国なのだ。郷に入っては郷に従えだ、っとばかりに勇気を出して堂々と浴場へアンニョンハセヨ。
 
 おおっ そこはハーレムだ!
お肉の塊のおば様方や、プリンプリン肌のお若い衆や子供達が、何の屈託もない明るい笑い声で垢すりに専念のご様子。
奥の一段上がったステージでは、垢すり&エステの場所らしく、アカスリアジュモニ(垢すりおばちゃん)に身をまかせた3人の姿が目に留まった。
私は、クリアの主湯、そして薄ピンク色した高麗人参湯と黒っぽい色をした緑茶湯を全部体験してみた。それぞれ効用が表示してあるがハングルが読めない。スヤンに聞いてみると、体をたたいてO.Kの合図をする。はは〜ん 健康に良いという意味かと了解する。

 スヤンに、ステージを指差し垢すり希望の趣旨を言うと、黒のランジェリーを身にまとった体格のいいアカスリアジュモニがやって来て値段の交渉だ。垢すりと全身オイルマッサージで60000ウオンらしい。ウオンがエンに聞こえ、60000円!?もするの?っと混乱し、NO THANK YOU のサインをすると、なぜか55000ウオン(約5500円)に値下がりし、交渉成立。

 私は、ライトに照らし出されたステージに上がった。大げさではなく、本当にライティングばっちりの場所なのだ。
ワイヤー製のベッドに横たわる、な〜んて言うとかっこいいが、まな板の鯉だ。鯉ならよかったが干し大根だ。
そこで、何を血迷ったのかアカスリアジュモニが、私の体にまとっていたタオルをさっと剥ぎ取り、頭の先から足の先までジャージャーとホースでお湯まきを始めた。
横のベッドからは、マッサージ終了の合図だろうかパン パン パンと、打てば響くような軽快音がしている。
私はとっさに思った。ダボン ダボン ダボンと鈍い音だったらどうしよう・・・。そして、もし、垢がいっぱい出たらどうしょう・・・等と。
 スヤンに、「恥ずかしいよ・・・」と言ったら、アジュモニが何をしたと思います? さっき、体から剥ぎ取ったタオルを、な、なんと、顔に被せるではないか! 意味が違うだろっ?

 そんなこんなでとにかく、ボディ&フェイスオイルマッサージをたっぷりと顔はきゅうりのスライスパック。おまけにシャンプー&リンスまでしてくれた。垢すりの結果は想像におまかせするとし、頭にはタオルをターバン巻きをして出た。さてさて、銭湯体験はこれで終り。ではなかった!!
スヤンが、Tシャツと短パンに着替え売店で手招きをしている。
なぜか、みんながゆで卵を持っている。そして、スナックや飲み物も買っているので同じようにする。
それを持って、ドヤドヤと2階へ行くのでついて行くと、そこは、正にハーレムパート2 の大空間だった!!

 太い細いの老若男女やお子様達が、みんなみんな同じ銭湯ユニフォームを着て、韓国特有の立てひざをし、食べたり飲んだりテレビを見たりと楽しんでいる。
空腹が満たされると、それぞれが好みのチムジルバン(低温サウナ)へ移動し、ごろ〜んと横になり、体を温めたり冷やしたりして悠久の時を過ごす。終電に乗り遅れたりすると、ここでリラックスして、朝、出勤出来る24時間営業の所もあるらしい。
私は、この銭湯体験を通して、ペ・ヨンジュンの映画やチェ・ジュウの純愛ドラマからでは計り知れない、本当の韓国の風俗や習慣を垣間見ることが出来、実に貴重で面白いと思った。ぜひ ぜひ、お試しあれ!

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